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日浦地区試掘調査情報(令和3年2月1日)
「日浦地区」試掘調査情報(令和3年2月1日)
桜江町谷住郷の日浦地区で試掘を行いました。
この場所は1級河川江の川沿いにある集落が点在した場所の一つです。江の川は古くから水運が栄えていました。
江の川に注ぐ谷地形
日浦地区は後背の山から小さな川が江の川に注ぎ込む小規模な扇状地です。
水運が栄えているころには、船着き場や居住地があった可能性があります。
重機によるトレンチの掘削作業を2か所行いました。トレンチは長さ約12メートル、幅約1メートル、深さ約2メートルの大きさです。
トレンチの断面から次のようなことがわかりました。
(2)と(4)と(6)の土砂による堆積層と(3)と(5)と(7)の湿地だった水成層を交互に見ることができます。この場所では繰り返し洪水があったと考えられます。
また、発掘調査に繋がるような遺物や遺跡は見つかりませんでした。
基壇跡と石州瓦
江の川沿いの道路の法面(山の部分)上には狭い平地があり、ここには、小規模な基壇跡がありました。
写真の右側部分の縦に並んでいる石が基壇跡です。
まず、その場所の周辺を丁寧に手掘りで掘削しました。繊細な技術が求められます。
作業が終わると、くぼんだ所を掘り込んでいったところに地山があらわれ、多数の石がありました。
この場所はもともと谷の地形で落石などが自然に溜まったものと考えられます。
次に基壇を調査しました。その結果、写真の上部に見られる基壇跡と基壇の内側に、石州瓦が落ちていることがわかり、元々この基壇に祠などがあったと考えられます。
また、落ちていた瓦は、色や形状から近世以降に生産されたものであることがわかりました。
そのため、基壇や祠は記録や保存を行う遺物や遺跡にはあたりませんでした。