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遺跡発掘「竹下窯跡」調査情報(令和2年12月1日)
「竹下窯跡」調査情報(令和2年12月1日)
岡山理科大学と連携事業
令和2年度から、岡山理科大学と連携事業を開始しました。
事業内容は、学芸員の資格取得を目指した学生を対象にした博物館実習です。
江津市周辺には、しまね海洋館アクアスという素敵な博物館があります。その、素敵なアクアスに刺激を受けながら博物館の仕事に役立つ体験をすることができます。
実習の内容
江津市は石見焼と石州瓦の中心地で、市内には約200基の窯跡遺跡があります。
実習では、このうちの一つ、竹下窯跡(江津本町)を測量し、フォトグラメトリによる3Dモデルを作成することを第1の目的にしました。
また、江津本町は古い町並みが残るノスタルジックな町として有名です。
同時に竹下窯跡を含む焼きものの町でもあります。実習ではこうした視点から、新たな観光資源を開拓し、これまでは異なる視点で、観光マップを作りたいと考えました。
竹下窯跡
調査の現場となった竹下窯跡は明治20年(1887)頃に竹下惣吉氏によって、石見焼の窯業が始まりました。
それ以前は、明和年間(1764~71)に沖田屋(江津本町の豪商横田家)が経営したものとも伝えられています。石見焼誕生初期の窯で、現在は14連の登り窯でそのうち11連の窯が残っています。
江戸時代~明治・大正時代に隆盛を誇った窯は、良質の土が取れる近世山陰道沿いの斜面に作られ、陸路で江の川の川港まで運ばれた後、水運により各地へと運ばれて行きました。
時代の流れとともに水道やプラスチック製品が普及してからは、この付近の登り窯は使われなくなってしまいました。
今回の実習のために竹藪になっていた場所の竹を伐採し、登り窯の跡を出しました。
現場では、まず3Dモデルの素材となる、様々なアングルの写真を撮影しました。精度の高いモデルを作るためには、良い写真が必要で、学生たちは、一眼レフカメラを駆使して、2,000枚の写真を撮影しました。
その次に、これらの画像データをフォトグラメトリ用のソフトウェアを使い、モデル化します。また、レベル値(測点の高さ)をモデルに付加し、窯跡の水平や傾斜がわかるようにします。最後に、全体の修正・調整ができたら完成です。
亀山城跡
亀山城跡は、江津本町にある山城跡です。この城跡は、江津の海を舞台に勢力を拡大した在地豪族都野(つの)氏の居城でした。戦国時代に整備され、慶長5年(1600)関ケ原の戦い後、都野氏の移封により廃城になったと考えられます。
現在、この場所は江津本町の町歩き散策コースとして、周辺整備をしており、頂上付近は江の川を見下ろす絶景ポイントになっています。
宮内窯
宮内窯は、現在15程度ある石見焼の窯元の一つです。敷地には、昔、使われていた登り窯も残っています。
宮内窯では、学生たちは、実際に陶器の作成工程を体験し、石見焼と登り窯への理解を深めました。
山下家住宅
今回、宿泊では松川町にある登録有形文化財の山下家住宅を活用しました。山下家は、江戸時代にこの周辺の庄屋を勤めた家で、主屋は明治16年(1883)に建築されました。
ここでは、学生が実際に寝泊まりしながら、実習の打ち合わせ、振り返りのミーティングを行いました。
今後の研究の成果について
調査成果は、学生たちにより測量図と本町観光マップになり、今後活用されます。
また、調査は来年度以降も継続して行う予定です。
岡山理科大学の学生と先生、竹下さん、山下さん、宮内さん、アクアスの皆さま、江津本町の皆さん、ご協力ありがとうございました。