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令和8年第3回市議会定例会における所信(市長提出議案説明より抜粋)

掲載日:2026年9月10日更新
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令和8年第3回市議会定例会における所信(市長提出議案説明より抜粋)

 令和8年第3回江津市議会定例会の開会にあたり、諸議案の提案に先立ちまして、二期目にあたっての、私の市政運営に対する基本的な考え方、方向性などその所信を申し上げます。 

 まず、7月28日に発生した令和8年熊本地震、そして8月13日に発生した千葉豪雨により、亡くなられた方々につつしんでお悔やみを申し上げます。また、その後も続く北陸地方での豪雨も含め、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。そして、一日も早い復旧・復興を心よりお祈りいたします。

 これまでの4年を振り返りますと、財政の健全化を常に念頭に置きつつも、スマートシティ江津推進構想、DXの推進、ゼロカーボンシティ宣言、シティープロモーション、そして子育て支援の充実等々、特色のある施策に取り組み、「小さくとも一層キラリと光るまち江津」の実現を目指し、懸命に走り続けてまいりました。

 この間、一定の成果はあったものの、決して現状に満足しているわけではなく、第6次江津市総合振興計画の後期計画に基づき、さらなる市政の発展のため諸施策、諸事業の推進に取り組んでまいります。

人口減少対策について

 はじめに、人口減少対策についてです。

 この春発表された令和7年国勢調査の速報値では、本市の人口は、前回の令和2年調査より1割以上少ない20,420人となっています。正確な数字は今年秋に発表されますが、人口減少対策が本市の最大の課題であることを改めて実感させられ、同時に、人口減少による地域の活力の減退や生活基盤の縮小などが現実化する前に、出来る限りの対策を講じる必要があると強く認識したところです。

 そうした中、令和7年度には第6次総合振興計画の後期計画を策定いたしました。本計画では、人口の将来展望について、2050年時点の目標人口として、国の推計を約2,400人上回る約15,000人に設定しています。

 目標人口の実現には、2050年までに合計特殊出生率を段階的に2.07まで引き上げることや、2030年以降には毎年116人の社会増を達成することなど、高い目標の達成が求められるため、今後はさらに効率的で効果的な人口減少対策に取り組みます。

 このように、より一層強力な人口減少対策を推進することによって、市民一人ひとりが地域に誇りと愛着を持ち、将来に向かって持続可能なまちの実現に注力してまいります。

産業振興について

​ 産業の振興につきましては、コロナ禍において大きな影響を受けた小売業や飲食・サービス業を中心に、その回復に向けた各種支援を展開してまいりました。しかしながら、世界各地の紛争等による資源価格の高騰や、円安に伴うインフレ傾向の継続、さらには人口減少の加速など、経営環境は依然として厳しさを増しています。

 このような現状を踏まえ、本市では、7月から10月までを使用期間とする「ごうつ地域応援券事業」を実施し、市民生活における物価高騰の影響緩和と、市内経済における消費の下支えを図っているところです。

 一方で、今後も事業環境の変化に対応していくためには、企業における「新たな需要の獲得」「事業の採算性の向上」「産業人材の確保」といった取り組みが不可欠です。

 本市といたしましては、まず市内企業の経営基盤強化に向け、販路拡大や新商品・サービスの創出、新規事業分野への進出を後押しし、新たな需要の獲得を支援します。

 また、デジタル技術の導入や設備投資による生産性の向上を促進することで、事業の採算性を改善するとともに、脱炭素への対応についても支援を行ってまいります。

 そして、雇用対策と産業基盤の維持・拡大に向けては、企業の採用力向上支援や、企業ガイダンス等を通じた就職マッチングの促進により、若者を中心とした地元就職を推進します。

 加えて、創業や事業承継への支援体制を整えるとともに、多様な就業機会の確保に向けて、企業誘致にも継続して取り組んでまいります。中でも創業支援については、「江津市ビジネスプランコンテスト」を中心に、起業家の育成・支援に引き続き取り組むとともに、都市部からの人材の誘致を強化します。アイデアや構想の段階から事業化まで、一貫して寄り添いながら、本市に思いを持つ人の挑戦を全力で支えていく必要があると考えています。

 こうした施策の推進にあたっては、国や県の施策の活用も視野に入れ、関係機関との緊密な連携を図りながら、持続可能な地域経済の確立に努めてまいります。

農林水産業振興について

 本市の農林水産業は、担い手不足や高齢化、鳥獣害の深刻化、生産基盤の老朽化、燃料・資材価格の高騰による収益性の低下など、複合的な課題を抱えています。

 こうした課題に対し、持続可能な産業として、基盤整備の推進、担い手の確保、収益性向上に向けた支援を重点的に進めます。

 まず、農業では、ほ場整備による優良農地の確保、地域計画の継続的なブラッシュアップ、有機農業の推進、園芸作物への転換支援など、地域農業の維持と生産性向上に取り組みます。あわせて、鳥獣害対策や農地や農道、用排水路、ため池など農業用施設の維持管理支援を通じて、営農環境の改善を図ります。

 林業では、森林環境譲与税等を活用し、林内路網整備、間伐材の活用、事業体の雇用確保、松くい虫対策などを進め、循環型林業の構築と森林の公益的機能の維持を図ります。

 漁業では、漁港機能の維持、資源回復のための放流事業、研修生受入や就業支援など担い手確保に取り組み、沿岸漁業の持続性を高めます。

 地域特産品の高付加価値化と地産地消・販路拡大の推進につきましては、「道の駅」サンピコごうつの直売体制に加え、隣接する「なぎの木テラス」と連携し、旬の食材の飲食提供や魅力発信を強化します。併せて、「まる姫ポーク」や「桑」などの特産品につきましては、各分野の事業者と連携した6次産業化による新商品開発を推進してまいります。

 また、山陰自動車道福光・浅利道路の開通を見据え、直売所へ消費者を呼び込む取り組みを継続し、生産者の所得向上と、食と農の循環構造の確立を目指してまいります。

移住・定住支援について

 移住・定住に対する支援については、いきなり移り住むのではなく、まずは「いわみ暮らし留学」や「保育園留学」を通じて、本市での暮らしを体験できる機会を充実させてまいります。

 その体験をきっかけに、本市に関わる人を増やし、関係をより深めていくことを目指します。

 また、「保育園留学」については、現在の取り組みに加え、航空事業者による「二地域居住」推進プログラムとも連携し、都市部の子育て世代との新たなつながりづくりを進めてまいります。

 これらの取り組みを連動させた「統合型のアプローチ」により、都市部からの人材を誘致し、本市での挑戦への支援を一体的に進めます。そして、「人を呼び込み」「挑戦を応援し」「地域への定着につなげる」好循環をつくってまいります。

観光振興について

 本市の観光滞在拠点である有福温泉は、令和2年度からの再生事業により民間事業者の参入が進み、旅館の再生や飲食店の整備が行われました。その結果、事業着手前に20室であった客室数は65室へと増加しました。また、年間約6千人であった宿泊客数も、令和7年には1万6千人を超えるまで回復しています。

 一方で、温泉街においては空き家の放置や公共物の老朽化により、景観の劣化が目立つようになっています。観光地らしい修景や住空間の改善を図る必要があります。

 また、本市全体の観光の魅力の底上げに向けては、日本遺産に認定されている神楽をはじめ、歴史、文化、自然、食といった地域固有の資源を活かした取り組みを育成することが求められています。

 こうした課題に対応するため、まず有福温泉においては、街なみ環境整備事業を着実に推進し、官民一体となって情緒ある景観形成と魅力的な温泉街づくりを推進します。あわせて、3箇所ある公衆浴場の老朽化を踏まえ、今後の持続可能なあり方を検討してまいります。

 本市に長く滞在し、楽しんでいただけるよう、インバウンド誘致についても念頭に置きながら、自然や文化、産業などをテーマとした体験型観光コンテンツを造成する取り組みを支援します。また、地域を代表する観光資源となっている石見神楽につきましては、引き続き各団体の活動の持続化と活性化に向けた支援を行ってまいります。

 また、近年のキャンプブームや大型遊具の新設によって利用者の増加が期待される菰沢公園は、平成3年度から原っぱ・ときめきの国・園路・緑地・第一駐車場を整備し、平成9年度に供用開始しました。その後もオートキャンプ場をはじめスケートボード場、バスケットコート、親水広場、多目的広場、ちびっこ広場、駐輪場と整備が進み、市民の皆さまにも多くご利用いただいています。

 このうち、ときめきの国の大型複合遊具については、施設の老朽化に伴うリニューアル工事を進め、令和7年度には傾斜部を活用した大型遊具を整備する第2期工事を行い、本年7月17日に供用開始したところです。当公園は供用開始から約30年が経過しています。今後も自然の中で休息、観賞、散策、遊戯、運動など、利用者の皆さまが安全に利用できるよう公園施設の長寿命化に努めてまいります。

有福温泉の再生を軸とし、これら各施策を一体的に展開することで、本市の観光振興を着実に推進してまいります。

カーボンニュートラルの推進について

 本市では、令和5年6月議会において、2050年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロとする「ゼロカーボンシティ」を目指すことを宣言したところです。

 これに合わせ、令和6年にはカーボンニュートラルに関心を持つ市内企業や団体との勉強会の実施や協議会の設立を行い、令和7年にはカーボンニュートラルの啓発イベントとして「未来創造サステナフォーラム」の開催を支援しています。

 そして、本年12月に開催される、カーボンニュートラルをテーマとする「52未来プロジェクト2026」では、日本で唯一の公道を使ったカートレース、さまざまな展示・体験コーナー、ステージイベントや各種企画の実施が計画されています。市としても、主催の実行委員会を積極的に支援し、持続可能な地域社会づくりに関する意識醸成や啓発につなげていきたいと考えています。

 本市におけるカーボンニュートラル施策は、いわゆる環境対策としてだけではなく、電気代削減等の実利的な効果、地域のにぎわい創出、地域内経済循環なども含めた持続可能な地域社会づくりを目指し、推進してまいります。

地域医療の方向性について

 本市の地域医療の中核をなす済生会江津総合病院では、平成18年の移転改築以降、厳しい経営状況が続いており、特に近年では、少子高齢化・人口減少による患者数の減少や医療従事者不足、さらには物価高騰の影響もあり、より一層の経営改善が必要になっています。

 医療人材の確保については、これまでのような単なる医師や医療従事者の「数」の確保ではなく、患者像や患者数に応じた診療科医、医療従事者、病床数の確保などが求められているところです。しかし、いまや医療人材不足は全県的な課題となっており、特に県西部での確保はより厳しい状況です。

 このため、救急医療や周産期医療なども含めたすべての医療を、いち自治体の中で完結することは困難となっています。そのため、これまで以上に、圏域だけではなく、より広域での医療提供体制を構築するため、病院間の連携と機能分担を、一層進めていく必要があります。

 そうした中、済生会江津総合病院では、持続可能な医療・介護・福祉の連携体制強化のため、グループ施設の再編整備を進め、昨年4月には、病院内に介護医療院を設置し、その後、6月1日に介護老人保健施設の病院内への移設が完了したところです。

 「医療と介護の集約化」「急性期医療から介護まで」といった済生会江津総合病院の目指す方向性と機能・役割を明確化することで、患者の確保やサービス提供体制の強化、効率的な運営による経営改善が見込まれるものと考えています。

 今後は、総合診療医を中心に、高齢者救急医療や一定の周産期医療、介護・福祉と連携したプライマリケアなど、本市が必要とする診療体制を確保し、安定した病院運営を期待するところですが、経営改善や安定した病院運営には今しばらく時間がかかると考えられます。本市としましては、病院が主体的に取り組まれることを前提としつつ、引き続き、病院ならびに関係機関と連携を図り、必要な支援を行ってまいります。

 また、それに併せて、今後想定される診療所の存続、承継等に対する課題を見据えた病院と診療所との連携や体制整備についても、支援を検討していく必要があると考えています。

子育て支援について

 全国的に出生数が70万人を割り過去最少を更新する中、本市においても、令和7年度の出生数は、10年前と比べて約半減の82人となり、子育てをとりまく環境は厳しい状況が続いています。

 人口減少が進み、少子化、核家族化が進む中で、子育て中の家庭は周囲に頼れる人や相談相手がいないため、不安や負担を感じる場合も少なくありません。

 こういった課題に対応するため、本市では妊娠期から子育て期に至るまで、当事者一人ひとりに寄り添った切れ目のない支援が実施できるよう、さまざまな施策を展開しています。

 例えば、済生会江津総合病院と浜田医療センターの産婦人科医や助産師と、市の保健師が定期的に連絡会を開き、課題を共有することにより、妊娠期から産後まで、一人ひとりをしっかりと支えられる体制ができるよう、連携を図っています。同時に、市内助産院での「産後ケア」事業を拡充し、産後の母親の休息や、体調管理など、出産後の母親の不安を解消するための取り組みも行っています。

 また、行政だけでなく保育所や子育て支援センター、主任児童委員、警察署など、市内の子育て支援に関わる機関が集まる連絡会を毎月開き、情報共有を図っています。加えて、子育て支援に関わる多くの方々や高校生も関わり、「こどもまつり」といった手作りのイベントを開催するなど、地域全体で子育て家庭を支えられるよう、連携を図ってまいりました。

 さらに、次代を担う江津の子どもたちの誕生を、市全体でお祝いする気持ちを込めて、令和5年度から企業版ふるさと納税を活用した「ベイビーボックスプレゼント事業」を実施しており、今後も続ける予定としています。

 小さいまちだからこそ築くことができる関係性を大きな強みとして、地域ぐるみの温かい環境の中で、江津の子どもたちが健やかに成長できるよう、また、一人ひとりに寄り添ったきめ細やかな支援ができるよう、関係機関と連携しながら、今後も一層施策を充実させてまいります。

防災・減災対策について

​ 近年、地球温暖化が原因と考えられる災害が激甚化・頻発化しており、毎年のように過去の記録を塗り替える豪雨や猛暑、それに伴う土砂災害や浸水被害、そして乾燥による林野火災も多く発生しています。

 本市においても、平成30年、令和2年、そして、令和3年に、江の川、八戸川、これらの支川における越水、バックウオーター、パイピング現象などによる大きな浸水被害が発生しているほか、令和7年4月に発生した桜江町谷住郷地内での林野火災では、鎮火するまでに2日間を要しました。

 私が市長に就任してからこれまで、幸いなことに大きな水害は発生しておりませんが、元来、本市は大雨による災害が多く、加えて地球規模の環境変化により、いつ何が起こっても不思議ではない状況にあります。根本的な課題解決のため、築堤や宅地かさ上げ、移転などの治水対策を続けていますが、これらは大きな費用と長い時間を要するものです。

 こうしたことから、今できる対応も並行して進めてまいりたいと考えています。具体的には、防災備蓄品や水防活動に関わる資機材の整備、拡充などや、防災マップの更新、デジタル版の整備などの、ハード・ソフト両面での対策となります。

 また、本市では全地域に自主防災組織が設立されており、それぞれに地域性のある災害の形態や、防災意識に応じた取り組みがなされています。こうした地域性に応じた防災学習、避難訓練など、きめ細やかな支援を行い、より一層、自助・共助・公助の「三助」の意識醸成により総合的な防災力の強化を図り、地域防災力の向上に取り組みます。

 本市ではここ数年、大きな災害は発生していませんが、いつか必ず起こることを前提に、気を抜くことなく、今後も引き続きハード面、ソフト面を組み合わせて、一体的に防災・減災対策の強化・充実を図ってまいります。

治水対策について

 江の川下流域は、国において、複数回の家屋浸水が発生した地区を、緊急対策特定区間に設定し、令和3年度から10年間で250億円規模の重点投資を進めていただいています。そのおかげをもちまして、市内13地区の緊急対策特定区間のうち、昨年度末までに4地区が完了したところです。

 本市としましても、流域治水の取り組みとして河川整備と連携し防災集団移転促進事業に取り組むなど、治水対策の加速化を図っているところです。 

 しかしながら、島根県内における江の川の河川整備は、全国の直轄河川における河川整備に比べると著しく遅れており、より一層の治水対策の推進が求められています。昨今の物価高、人件費の高騰、中東情勢などを鑑みますと、この10年間で250億円という予算規模については、十分とは言い難いと考えています。

 「治水とまちづくり連携計画」および「江の川水系河川整備計画」に基づいた治水事業が確実に推進されるよう、必要な予算の確保について国土交通省や財務省はもとより、地元選出国会議員に対して要望するとともに、引き続き国や県と連携して地域の皆さまとの調整を進め、さらなる事業の推進を図ってまいります。

 また、江の川沿川におきましても、島根県が管理する八戸川とその支川である玉川、日和川や都治川においても治水事業が進められているところです。引き続きこれら県管理河川におきましても、島根県と共に地域の皆さまとの調整を進め早期完成に向けて取り組んでまいります。​

山陰道の進捗について

 平成28年度の事業化以降、着実に進めていただいており、本年4月1日時点で用地取得が完了したと聞いております。また、令和8年度当初予算においては対前年度比1.5倍の約39億円が配分され、今年度末で事業進捗率は約50%に達する予定とされており、現地では国道9号から工事が進んでいる様子がうかがえます。

 本年3月には三隅・益田道路が開通したことにより、県内のネットワークは飛躍的に強化され、人流・物流の円滑化や安全性・利便性・快適性の向上に大きく寄与されています。

 本市としましては、さらなる効果の発現に向け、開通見通しの早期公表や、早期完成に向けた予算の確保など、国土交通省はもとより、財務省や地元選出国会議員に対し、期成同盟会を通じて要望を行うとともに、引き続き国と連携のうえ地域の皆さまとの調整を進め、事業の推進を図ってまいります。​

地域公共交通について

​ 本市はこれまで、JRや民間バスの路線廃止という困難を乗り越え、代替バスの運行などを通じ、市民の移動手段の確保に取り組んでまいりました。

 しかしながら、公共交通を取り巻く環境は、人口減少の進行に伴う利用者の減少、運行コストの増大、さらには深刻な運転手不足などにより、従来どおりの路線を維持していくことが困難な状況となりつつあります。

 こうした中、JRや路線バスが多くの人を比較的安価な運賃で遠方まで運ぶ幹線としての役割を担う一方、市は、当該幹線へとつなぐ二次交通の充実を図っていくべき役割を担っており、それぞれの役割を踏まえた取り組みと協調が重要であると考えています。

 さらに、地域の限られた移動資源を最大限に活用するため、AIを活用した乗合交通をはじめとするデジタル技術の導入を進めつつ、福祉的な移動手段や地域住民による共助も視野に入れながら、持続可能な公共交通のあり方について検討を深めてまいります。

 こうした一連の考え方や取り組みを通し、本年に実施を予定している市民アンケートの結果も踏まえ、令和9年度には次期公共交通計画を取りまとめる予定としています。

水道事業について

​ 交通網と同じく、重要な生活インフラである水道事業は、給水人口の減少に伴う給水収益の減少が進む中で、管路や施設の更新費用の増大が予想されており、将来にわたり安全で安定的な水道水の供給を継続させるための、水道施設の維持管理と、その財源の確保が大きな課題となっています。

 本市には、水道管が約400km、浄水場や配水池、ポンプ設備等の施設が約70箇所存在します。現在、江津市水道事業経営戦略に基づき、老朽管路の更新事業と防災拠点や医療・介護施設等の重要給水施設へ送る管路の耐震化事業を重点的に実施しているところです。

 今後の施設整備にあたっては、水の需要予測に見合ったダウンサイジングや統廃合を行なう等、経費の抑制に取り組み、計画的な整備を行っていくことで、継続的な水道施設の維持管理と経営の効率化を図ってまいります。

下水道事業について

 下水道整備については、「安全で快適な生活環境づくり」として、市民の生活やさまざまな活動を支え、持続可能なまちづくりを実現する生活基盤整備の一つとして位置づけています。

 本市の下水道建設事業は、平成17年度に波子、平成18年度には江津西の各処理区で供用開始するなど、江津市汚水処理整備構想に基づき整備を進めてまいりました。その結果、江津西処理区においては令和7年度末時点で普及率は93.3%に達し、生活環境の改善に成果を上げております。

 今後は、将来の人口減少による収益の減少と更新費用の増大を見据えて、令和6年度に全体計画の大幅な縮小による整備計画区域の見直しを行い、今年度をもって建設事業を終了する予定としています。

 また、旧桜江町において実施した、農業集落排水事業は、平成9年度から着手し、平成18年度に事業が完了しております。しかしながら、施設供用開始から20年以上が経過し、施設の老朽化に伴う設備更新と人口減少による収益減少に伴う経費削減が急務となっています。

 下水道事業の経営については、令和5年度から地方公営企業法の適用により、企業会計方式を導入していますが、建設事業が終了することにより、今後の主たる事業は維持管理へとシフトするため、経営のさらなる効率化を図る必要があります。

 今後は人口減少と高齢化が続く中、収益を確保し持続的な経営環境を構築するため、接続率向上を目指し、健全な下水道事業を進めてまいります。​

駅前整備について

​ 江津駅前地区は、モータリゼーションの進展に伴う生活様式の変化により、郊外型大型店舗が増加し、都市のスプロール化や少子高齢化の影響を受けた結果、かつて地域の中心としてにぎわっていた駅前地区は、空き店舗や未利用地が目立つようになり、往時の活気が失われつつありました。

 この課題に対応するため、江津ひと・まちプラザ「パレットごうつ」の整備をはじめ、電線の地中化や歩道の整備など駅前地区再生に向けた各種事業を進めてまいりました。その結果、少しずつではありますが、「パレットごうつ」を中心としたイベント開催などにより、にぎわいを取り戻しつつあります。

 今後も、中心市街地の拠点性と人流の回遊性を高めるため、道路や歩行環境のバリアフリー化に加え、駅前広場などの整備を進め、駅前地区のさらなる活性化に取り組んでまいります。

空き家対策について

 本市のみならず全国的に空き家問題が深刻化しています。本市の空き家率は28%を超え、市街地や中山間地域を中心に、管理不全の空き家が増加しており、防災や景観、地域の活力に悪影響を及ぼす懸念があることから、早急な対策が求められています。

 この状況を踏まえ、本市では実態調査を行い、現状の課題を明確化したうえで、空き家の発生抑制や適切な管理、利活用促進、危険空き家の除却支援、相談窓口の強化といった5つの柱を掲げた「江津市空家等対策計画」を、令和3年度に策定したところです。

今後も、この計画に基づき、安心で安全な地域づくりを進めるため、市民の皆さまとともに対策を講じてまいります。

教育について

 本市の教育行政の推進にあたりましては、教育大綱に掲げる「地域を愛し、共に学び、認め合い、未来を創る人づくり」の理念のもと、総合的な取り組みを進めてまいります。

 このうち、学校教育の環境整備につきましては、懸案となっておりました青陵小学校の建設事業ですが、昨年度からの敷地造成工事を終え、今年度から校舎等の建築工事が始まっています。令和10年4月の開校に向け、子どもたちの安全確保と最新の教育環境整備を両立させながら、緊密な工程管理のもと、着実に進めてまいります。

 また、少子化の進行や地域の実情を踏まえ、「第3次学校整備再編基本計画」の早期策定に取り組みます。

 続いて、社会教育施設におきましては、図書館や歴史民俗資料館の整備が大きな課題として残っています。

 図書館や歴史民俗資料館は、地域の情報・文化・交流の拠点として、市民の皆さまが集い、学び、交流を深める施設であるべきと考えています。しかしながら、今の図書館では市民のニーズに十分に応えられる条件が整っておらず、利用しづらい施設であること、特に児童・生徒のみなさんが静かに学習できるスペースが少ないことから、新たな図書館の整備の必要性は強く認識しています。そのため、教育委員会では、検討委員会を立ち上げ、基本構想・基本計画の見直しに着手し、今できることを進めています。

 加えて、江津市総合市民センターは建設から30年以上が経ち、施設の老朽化が顕著になっており、大規模な改修が急がれます。本市の文化振興の重要な施設でありますので、必要な改修を進めてまいります。

 こうした施設の整備・改修に加え、新しい時代に対応する学びの推進と、3つの「めざす姿」の具現化についても取り組みを進めます。

 激変する社会を生き抜く力を育む「主体的・協働的に学び続ける人」の育成として、江津市GIGAスクール構想による1人1台端末の最適な活用と情報活用能力の向上を図るとともに、「江津市授業改善アクションプラン」に基づく主体的な学びを推進します。

 「地域とともに新しい価値を創造する人」の育成に向けては、ふるさとキャリア教育を通じ、ふるさとへの愛着と誇りを育み、起業家に必要とされる問題解決の姿勢を養うアントレプレナーシップ教育の推進を図ります。

  「多様性を認め、自他を尊重する人」の育成に向けては、道徳教育や人権教育を推進し、お互いの個性や価値観を認め合う「人権感覚」を育みます。

 そして、障がいの有無にかかわらず共に学ぶことができるインクルーシブ教育システムの構築や、特別支援教育の充実を図るとともに、いじめの未然防止や不登校児童生徒へのきめ細やかな支援、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の効果的な活用による「学びのセーフティネット」を強化し、子どもたち一人ひとりに寄り添う教育環境を整えます。

 加えて、地域社会と学校が一体となった「コミュニティ・スクール」の効果的な運営により、子どもの育成を目的とした教育活動のなかで、大人の学びと地域活動の活性化も推進します。

 持続可能な江津市を築いていくためには、今を生きる私たち大人の学びと、未来を創る子どもたちの学びが大切です。未来を担う子どもたちが、夢と誇りを持ち、自らの意思で未来を切り拓いていけるよう、家庭、地域、そして学校が一つになり、社会全体で江津の教育を支える体制づくりに取り組んでまいります。​

国スポの推進について

 4年後の2030年には、島根県で第84回国民スポーツ大会(通称・島根かみあり国スポ・全スポ2030)が開催されます。

 本市においては、水球、ラグビーフットボールの2競技の実施が予定されており、いずれも、江津中央公園を会場として行う予定となっております。

 競技実施に係る本市の準備状況としましては、競技会場施設となる江津市民プールと多目的広場の改修工事を予定し、令和9年度からの着工に向けて、現在実施設計を進めているところです。

 本年2月には、関係機関・団体の皆さまのご賛同をいただき、江津市準備委員会を設立しています。そして、大会開催3年前となる令和9年度は、日本スポーツ協会において、島根県での大会開催が正式に決定される年となり、より具体的な取組みを進めていく段階へと移っていくことになります。

 大会では、競技関係者をはじめ、全国からいらっしゃる多くの方を、市民の皆さまとともに歓迎することができるよう、今後も関係機関・団体のお力添えもいただきながら、開催に向けて着実に準備を進めてまいります。​

男女共同参画・女性活躍について

​ 男女共同参画・女性活躍の推進は、性別にかかわらず、誰もが力を発揮し、安心して暮らし、活躍できる地域社会を実現するための重要な取り組みです。 

 こうした環境づくりは、本市の人口減少対策にも寄与するものと考えています。

 本市では、第4次江津市男女共同参画推進計画に基づき施策を進めています。既に数値目標を上回る成果も見られますが、国の体制強化や若い女性の転出要因などを踏まえると、本市として取り組むべき方向性をさらに明確化し、実効性を高める必要があります。

 そのため、次期計画の策定にあたっては、島根県の次期計画を勘案する必要があることに加え、国の施策動向を的確に反映することが重要であるとの判断から、現行計画の期間を1年延長することとしました。計画期間の延長により、課題認識と施策の方向性を整理し、より実効性のある計画とすることを目指します。

地域コミュニティへの支援について

​ これまで「地域コミュニティのあり方指針」に基づき、地域コミュニティ交流センターを拠点として、各地域のまちづくり組織が主体となって行う「地域づくり計画」の実現を支援してまいりました。

 加えて近年では、まちづくり組織の支援体制を強化する観点から、地域コミュニティ交流センター職員の処遇改善に取り組んでいます。

 人口減少が進む中、各地域においては、担い手不足が共通の課題として挙げられていますが、今後、伝統的な地域力を継承しつつ、外部の多様な人材と手を携えていく新たな挑戦に取り組んでまいります。

 そのため、デジタル技術や関係人口による地域経営も視野に入れ、市外にお住まいの江津ファンの皆さまが、ともに地域の未来づくりに参画できる「関わりしろ」を創出します。

 これまで地域で培われてきた温かなつながりと多様な人々との共創とを融合させ、誰もが主体的に活躍できるまちづくりと、それぞれの地域が思い描く理想のまちづくりを、市民の皆さまとともに取り組んでまいります。

行政運営について

 本市の令和8年9月1日時点での職員数は254人となっています。

 令和3年5月に、この新庁舎へ移転し、その間、青陵小学校建設や国スポ・全スポの開催など新たな事業も増えています。

 また、人口減少・少子化による人材の確保は全国的な問題であり、本市でも専門職員を含めた人材確保は喫緊の課題となっています。

 そうした中、安定的な行政運営のためにも、時代の変化に即応できる組織機構の構築を目指してまいります。

財政運営について

​ 本市ではこの10年あまり、基金の増加と将来負担の軽減をバランスよく進め、財政健全化を進めてまいりました。

 これにより基金残高は平成27年度末には約48億円だったのに対し、令和7年度末には68億円に増加し、実質公債費比率は13.9%から9.1%に、将来負担比率は140.2%から47.2%にそれぞれ改善しました。

 しかしながら今後は、統合小学校の新設や国スポの開催等により、中期的には基金残高は減り、地方債残高は増えることが想定されます。持続可能な財政運営のため、財源の確保や事業の平準化などにより、継続的に健全化を進めてまいります。

スマートシティ構想について

 令和4年度に策定したスマートシティ江津推進構想は、市行政組織のDXを第6次行財政改革と同義に位置づけ、最新テクノロジーを活用してまちや地域が抱える諸課題を解決し、持続可能で快適な暮らしを実現するまちづくりを目標とし、今年度までの5年間を計画期間としています。

 これまで、行政内部のさまざまな課題と対策をアクションプランに掲げ、システム導入や人材育成などをはじめとする、DXの推進に努めてまいりました。市議会においてはタブレット導入と資料のデータ化も実現しており、議員の皆さまもDXの効果を実感されていることと存じます。

 今年度はスマートシティ江津推進構想の最終年度にあたるため、新たな計画の立案に着手しているところです。計画立案にあたっては、これまでの成果や課題の分析はもちろんのこと、生成AIをはじめとするデジタル技術の革新とそれらの活用や、デジタル社会における新たな脅威への対策など、行財政改革の枠を超え、市民生活や企業活動も包含したDX計画の必要性を認識しております。

 ご承知のとおり、人口減少社会に対応するためにはDXの推進による効率化や合理化は欠かすことはできません。今後も引き続き、DXの推進による持続可能な社会の実現に取り組んでまいります。

シティプロモーションの推進について

 本市のシティプロモーションは、移住促進や観光客誘致という個別の目標にとどまらず、住民のシビックプライドを育み、人と資源を地域内部で循環させる包括的な地域経営の実現をめざしています。

 シティプロモーションについては、第1期江津市版総合戦略において「GO▷GOTSU!山陰の『創造力特区』へ。」をスローガンに定めて以来、市の事業として取り組んで参りました。

 私の市長就任以降は、在京キー局によるテレビ番組と連携した活動や、都市部の企業・人材との連携や協働、江津市の仲間として任命する「GOTSU▷CREW」制度など、首都圏をはじめ全国を対象とした取り組みにも着手し、市の知名度向上と交流・関係人口の創出を図ってまいりました。

 また、先ほども触れました、今年12月に開催される「52未来プロジェクト2026」では、日本唯一の公道コースでのカートレースやギャル課プロジェクトなどの特色ある企画によって、日本全国に江津市の名前が発信されることを期待しております。

 今後は、シティプロモーション方針の明文化や効果検証手法の開発にも取り組みながら、独自の取り組みをさらに推進することにより、市民一人ひとりが「このまちが好きだ」とさらに自信をもって言える江津市を目指してまいります。

令和8年度9月補正予算

 今年度当初予算は、市長改選があったため骨格的予算となっています。今回の9月補正では政策的な事業等を盛り込んだ肉付け予算として編成し、一般会計で6億5千万円余を計上しています 。

 内容につきましては、地域おこし協力隊インターンによる関係人口の拡大、石見地域における「ご当地ナンバー」の導入準備、福祉事業の充実に向けた、難聴に対する普及啓発を含む聞こえのサポート事業や障がい児・障がい者の入所施設の改修における支援、地域医療確保対策としての医療機関への支援、インバウンド誘客事業に対する補助など、今後の重点課題に幅広く対応するものとなっております。

最後に

 本市では人口減少対策が長年の課題となっており、さまざまな施策や事業を掲げ、懸命に取り組んでおります。

 しかし、全国の多くの自治体と同様に、人口減少の歯止めはかかっておらず、少子化も一層進んでいるというのが現状です。

 そのような状況にあっても、私はこの大きな課題から逃げることなく、正面から受け止め、引き続き、江津のひとをもっと笑顔に、江津のまちをもっと豊かに、江津のしごとをもっと魅力的にすることを目指し、全身全霊をかけ職務にまい進する所存であります。

 議員並びに市民の皆さまにおかれましても、一層のご理解とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げ、私の所信表明といたします。