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令和6年第1回江津市議会定例会の開会にあたり、当面の市政運営に対する私の基本的な考え方を申し上げます。
その前に、令和6年能登半島地震による災害で被災された皆さまには、心よりお見舞い申し上げます。また、一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
本市は、このたびの災害において、災害対策基本法の規定による被災地への職員派遣を行っており、一般職3名、建築技師1名、保健師1名の計5名の職員を2月8日から、順次派遣しています。
派遣先では一般職及び建築技師については金沢市内の住宅被害認定調査業務、保健師については能登町の被災者への健康相談などの業務を行ってきました。
今後も引き続き、被災地の復興復旧に向け、職員の派遣をはじめとするできる限りの支援を行ってまいります。
はじめにDX推進についてです。
令和4年度から、「スマートシティ江津推進構想」に基づき、様々な取り組みを行っております。
この中で「書かない窓口」の取り組みについては、昨年12月に、総務省の「令和5年度自治体フロントヤード改革モデルプロジェクト」に事業応募したところ、本年1月、採択された全国の12の自治体のうちの1つに選ばれました。
この事業では、多様な住民ニーズに対応するため、デジタルツール等を有効に活用して、「住民の利便性向上」を図るとともに、「職員の業務効率化による業務改善」を実現する仕組みの構築を進めてまいります。
続いて、スマートシティ江津推進構想アクションプランに基づいた、江津市地域共通プラットフォーム構築事業についてです。
現在、固定資産税業務をはじめ、庁内で様々な業務で利用しています、GISシステムの航空写真の更新に合わせ、道路網図及び道路台帳のデータ公開を実施し、さらに都市計画図の更新及びデータ公開を実施することで、より一層適正な課税、並びに市民・事業者の利便性の向上を図ります。
続いて、合併20周年・市制施行70周年についてです。
本年は、旧桜江町との合併20周年、市制施行70周年を迎えます。私自身、この記念すべき年を市長として迎えられることに心から感謝し、また、大変光栄に存じております。
市民の皆さまとともにこの節目の年を祝うため、10月1日に江津市総合市民センターにおいて記念式典を行うこととしています。
令和6年度は、本市が抱えるさまざまな課題に真摯に取り組みながら、あわせて、新たな事業や活動に積極的に挑戦し、次の10年、20年、その先の世代の発展につながるよう、持続可能な市政運営に努めてまいります。
続いて、地域再生計画の推進についてです。
令和2年度に国の認定を受けた本市の地域再生計画「江津市まち・ひと・しごと創生推進計画」は、企業版ふるさと納税制度の対象となる事業を明示しています。
本事業では、同計画に基づき、企業版ふるさと納税を活用したシティプロモーション事業として、令和5年度に引き続き菰沢公園および波子駅のリブランディングを更に推進することとしています。
また、企業版ふるさと納税を財源とする補助金制度では、本市計画の更なる伸長を目指し、民間団体等による取組みを支援してまいります。
これらの取組みによって、新たな集客サービス等の構築や、各施設の目的地としての価値向上、将来的な交流人口および関係人口の拡大をめざします。
続いて、江の川治水についてです。
令和4年11月25日に、松川町長良地区の要望書手交式をもって、緊急対策特定区間の全地区における整備方針が決定されたところです。これらの整備方針に基づき、本市が事業主体となって取組む防災集団移転促進事業についてですが、松川町長良地区においては、22世帯のうち12世帯が嘉戸団地への集団移転を希望されています。現在、移転元地の土地建物調査、移転先地の造成測量設計および用地測量を行っています。
令和6年度は移転元地の土地建物補償、移転先地の用地取得・敷地造成・道路工事および給水工事に着手してまいります。
また、川平町田野地区につきましては、引き続き事業計画の策定を進めます。
本市といたしましても、両地区において早期の移転完了が出来るよう、地域住民の方々をはじめ、国土交通省および島根県と引き続き連携を図りながら、事業を推進してまいります。
続いて、地域公共交通についてです。
私が掲げた政策課題の1つでもあり、昨年3月に策定された江津市地域公共交通計画の目標の1つでもある交通弱者に対する移動支援策として、タクシー利用助成制度の拡充を令和6年度に実施したいと考えています。
利便性の高いドアtoドアの交通手段であるタクシーについて、利用助成を望む市民の声は多く、75歳以上の高齢者及び運転免許自主返納者を対象にタクシー利用助成券を販売することにより、ご高齢の方々の外出機会の増加につなげたいと考えています。今後は、本年10月の利用開始に向け、準備を進めてまいります。
続いて、地域医療支援対策についてです。
本市の地域医療拠点病院である済生会江津総合病院と西部島根医療福祉センターに対しては、経営の安定化や人材確保などに向け、主に財政的な支援を実施しています。
このたびは、西部島根医療福祉センターの電子カルテ導入への財政支援を行うこととしております。
ご承知のとおり、西部島根医療福祉センターは医療も兼ね備えた障がい者福祉施設です。済生会江津総合病院と同様、昨今の医師の不足や偏在により、医師への負担は増強しており、看護師をはじめとする医療従事者の確保も困難な状況です。
そのようななか、同センターでは、業務の効率化による職員の負担の軽減や、人材確保の一助とするため、電子カルテの導入を検討されています。このたびは、この電子カルテ導入への補助を行うものです。
続いて、小学校教育施設整備事業についてです。
小中学校の施設・設備については、修繕や更新を随時実施しているところです。このたびは、建築から40年以上経過している江津東小学校について、外壁等の全面的な改修を中心とした、リフレッシュ工事の実施を計画しています。
令和6年度においては、校舎管理棟の外壁改修工事、屋上とベランダの防水工事、防火設備の改修工事、そして、トイレの洋式化などを行い、令和7年度には、教室棟の外壁を改修する予定としております。
今後も計画的に施設・設備の更新を進め、安心・安全な教育環境の確保に努めてまいります。
続いて、西部統合小学校建設事業についてです。
昨年10月、統合校舎は津宮小学校敷地内に建設することを本市の方針として決定し、議員の皆さまにご説明したところです。その後、両小学校の保護者、校区内の保育所、そして地域住民の皆さまを対象に、16箇所で説明会を開催しました。
これらの説明会では様々なご意見をいただいたところですが、統合校舎を津宮小学校敷地内に建設することに対しては、市民の皆さまにご理解をいただけたものと考えています。
今後、統合校舎の建設に着手することになりますので、令和6年度は、建設工事の基本設計と用地測量等にかかる予算を計上しています。
なお、統合小学校の建設には、概ね7年程度の期間を必要とします。関係機関と協議を重ねながら、早急に進めていきたいと考えています。しかしながら、工事期間中には、児童や保護者、地域住民の皆さまにご迷惑をおかけすることになるかと思いますが、未来の担い手となる子どもたちの教育環境の整備は、何より重要であると考えますので、皆さまのご理解とご協力をいただきますようお願いします。
続いて、本市の米の生産振興を目的としたライスセンター再編整備事業についてです。
本市では、後地町と桜江町市山に水稲生産者の共同利用施設である米の乾燥調製を行うライスセンターを2施設、所有しています。
両施設は建設から25年以上が経過し、機械・施設の老朽化による故障や、能力の低下だけでなく、農家を取り巻く状況や生産規模等も建設当初から大きく変わっています。
こうしたことを受け、後地町にある江津市乾燥調製施設を本市の乾燥調製拠点として位置付け、施設の改修や乾燥調製機械の性能向上及び増強を図ることとしました。
また、桜江地区の米の乾燥調製については、拠点となる江津市乾燥調製施設との米の輸送体制に必要な施設・機械の整備を行います。
このたびの再編整備により、JAをはじめ関係機関と連携を図りながら、本市の基幹作物である米の生産振興に取り組んでまいります。
続いて、令和6年度当初予算についてです。
一般会計予算につきまして、「第6次江津市総合振興計画」の重点プロジェクトである「第2期江津市版総合戦略」の最終年度にあたるため、各施策の総仕上げと位置づけます。また、スマートシティ江津推進構想に基づくDXの推進に重点を置き、併せて、施設の老朽化に伴う施設の更新などに伴う費用なども計上しています。
本市が抱える諸課題に対応しつつも、計画的な財政運営を実施していくことを重視した結果、予算規模は、184億7,400万円、前年比+17.9%、28億900万円の増となっています。
重要課題である「人口減少対策」については、総合戦略に基づいて実施する事業を着実に継続していくことが重要であると考え、ベイビーボックスプレゼント事業をはじめとした、子育て支援策等につながる予算を引き続き計上しています。
冒頭で申し上げましたが、スマートシティ江津推進構想に基づくDXの推進については、GISシステムを活用し、道路台帳、都市計画図を整備するものや、基幹系業務システムの全国共通標準化事業などの予算を計上しています。
そのほか、ライスセンターをはじめとした施設の更新、地域医療対策、江の川流域治水、地域公共交通、西部統合小学校建設など長年の地域課題解決に向けた予算も計上したところです。
これらにより、前年に比べ予算額が大幅に増加し、厳しい財政運営となりますが、有利な財源の確保や基金繰り入れにより対応いたします。
令和6年度は、昨年度より約2億円多い13億8,000万円余りの基金の取り崩しを行っていますが、将来的な財政運営にも十分注意したものです。
本市の財源確保と国の財源措置の関係から、令和6年度当初予算は、令和5年度 3月補正予算と一体的に編成し、約8億円を令和5年度に前倒して計上しています。
今後も引き続き、健全な財政運営に努め、住民サービス向上を図ってまいります。
また、特別会計3会計及び水道、下水道の地方公営企業2会計についても、所用の額を計上しています。
続いて、令和5年度補正予算についてです。
今補正予算においては、国の財源措置に伴い、当初予算と一体的に編成しており、事業の前倒しや、各事業の決算見込み等による事業費の調整、また、翌年度以降の安定した財政運営を持続していくための繰り上げ償還を行うこととしています。
最後に、旧庁舎の今後の方向性について申し上げます。
旧市役所本庁舎につきましては、新庁舎建設の前から長きにわたり、議論、検討などされてきました。
昨年1月末には本市関係の各般の代表からなる有識者会議から報告を受け、今年度から庁内でも検討を行ってまいりました。先日、庁内での検討結果の報告を受けたところであります。
これまで市民の皆さまから頂いたご意見、有識者や庁内の検討結果、市の計画や状況ほか、様々な情報を検討し、方向性について総合的に判断いたしました。
方向性については、まずはその姿、形を残すことを前提として民間譲渡を模索してまいります。
この結果に至った理由についてですが、図書館を含め公共施設として利用する計画がなく、今後の人口減少に伴う市の将来負担を鑑みますと、市が保有することは困難だと考えます。
一方で、近代建築として評価が高く、長年市民に愛された市の象徴的建物を無くしてしまうのは非常に惜しいことだということも認識しています。
よって、民間に譲渡して、残していきたいという判断をしました。
今後は民間譲渡に向け具体的な検討を進めてまいります。多くの方々からの建設的なご意見やお問い合わせ、譲渡希望の手が挙がることを期待しています。
以上、令和6年度における主要な施策の取り組みに併せ、本市が抱える諸課題について申し述べました。
私は、「江津のひとをもっと笑顔に」「江津のまちをもっと豊かに」「江津のしごとをもっと魅力的に」という3つの公約を達成し、「小さくとも“一層” キラリと光るまち ごうつ」を実現させるため、引き続き全力を挙げて取り組んでまいります。
どうか力強いご支援・ご協力を賜りますようお願い申し上げ、施政方針といたします。
アクセシビリティ向上のため、原文の表現を一部変更して掲載しています。