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令和5年第3回江津市議会定例会の開会にあたり、諸議案の提案に先立ちまして、当面の市政運営に対する私の基本的な考え方を申し述べさせていただきます。
はじめに、石見交通株式会社から路線廃止の申入れを受けておりました路線バス「有福線」についてです。
この間、住民説明会でのご意見や二度に及ぶ要望活動により、可能な限りの路線存続を求めてまいりました。
その結果、一部の減便を伴うこととはなりますが、当初本年9月末であったものが、令和6年3月31日まで運行期間を延長するという回答を同社から得たところでございます。
今後は路線廃止で生じる空白期間等、市民生活への影響を勘案し、地元住民の皆さんとの意見交換をとおして、代替交通手段の確保に向けた準備を進めていくこととします。
次に、地域雇用活性化推進事業についてです。
この事業は、「魅力ある雇用」や「それを担う人材」の確保を目的とするもので、令和2年度から令和4年度までの3年間、厚生労働省からの委託事業として実施してまいりました。
今年度は、市の単独事業として取り組みを継続しながら、並行して国の事業採択に向けた手続きも進めてきたところですが、このたび提出しておりました事業提案が採択され、今年度10月から令和7年度まで再び国の委託事業として実施することとなりました。
この事業の実施主体は、本市のほか島根県や商工団体、関係支援機関などで構成する江津地域雇用創造協議会であり、相互に連携をしながらこれまでの取り組みをより深化させ、企業の人材確保や働き方改革を見据えたDX支援、求職者のスキルアップ支援、そして双方のマッチング支援などに取り組んでまいります。
続いて、DXの推進に係る3つの取組みをご説明いたします。
本市では令和4年9月に策定した「スマートシティ江津推進構想」に基づき、DXの推進に取り組んでいるところです。
はじめに、ペーパーレス会議システム導入についてです。
市議会におかれては、これまでペーパーレス化を検討してこられましたが、このたび、タブレットを使用したペーパーレス会議システムを導入され、より効率的な議会活動を推進されることとなりました。
このため、本市としましても9月補正予算において、導入に向けて必要な予算を計上しているところです。
本市におきましては、自治体DXとして「できることから」「行動変革」と位置づけ、『全職員が、できることから行動に移す』組織を目指して行動しております。
議会のペーパーレス化は市民に対して、江津市及び市議会のDXへの取り組みをアピールできるものであり、これをきっかけに本市のDXをより推進してまいります。
DXに関する2つ目の取組みは、公式LINE運用ツール構築についてです。
広く普及しているモバイルツールのLINEに市の公式アカウントを導入し、次の4つの機能を設ける予定です。
1つ目が必要な情報を必要な方に発信するセグメント配信機能、2つ目は道路の変状など市民からの通報を受ける機能、3つ目は24時間市民の相談事に対応するチャットボット機能、4つ目は防災情報を迅速に、多様な手段で発信するため防災メールとの連携する機能です。
本年度はシステム構築を行い、令和6年度から運用開始したいと考えています。
これにより市の情報発信力を強化し、更なる広報機能の充実と市民の利便性向上、また多様な情報伝達手段の確保にも寄与するものと考えています。
DXに関する3つ目の取組みは、デジタル人材育成支援事業についてです。
本事業は、市内にデジタル人材が育つ環境を整備し、デジタルデバイド対策やデジタル人材の育成を目指していくものです。
ICT技術は年々急速に発展、多様化しており、そういったことに対応していけるような人材が育つ学びの機会の提供に取り組む必要があり、企業版ふるさと納税を活用し、℮スポーツを通じたデジタル人材・グローバル人材の育成につながる取り組みを進めていきたいと考えております。
℮スポーツは、年代問わず様々な活用効果が期待できるもので、こういったデジタルツールに触れる機会の創出が、デジタル人材の育成につながることを期待し、その環境づくりに今後取り組んでまいります。
次に、新型コロナ感染症対策費についてです。
新型コロナ感染症対策費として9月議会にお諮りするものの1つ目は、物価・エネルギーコストの高騰対策です。これは、市内の公共交通事業者、福祉・保育施設、畜産・水産事業者、中小企業等へ支援金を支給するものです。
2つ目は、保育施設の感染症対策です。これは、保育施設の感染症対策のための備品購入経費に対する補助を行うものです。
施設や企業の持続的な運営を支援することで、市全体のサービスが滞ることや経済活動が停滞することを防ぎます。
島根県外地方自治体との連携交流の推進について
続いて、島根県外地方自治体との連携交流の推進についてです。
現在、我々は先行きが不透明で将来の予測が困難な「VUCA(ブーカ)時代」の真っただ中を歩んでいます。VUCAとは、「変動性」、「不確実性」、「複雑性」、「曖昧性」の英単語の頭文字をとったビジネス用語です。社会情勢が目まぐるしく変化するこの時代にあって、簡単に解決できる地域課題が皆無であることはご承知のとおりです。
しかしながら、全国に目を向けると、地域課題の解決を目指す先進的で効果的な取組みを推進する地方自治体が少なくありません。このような地方自治体の施策には、本市の地域課題解決に役立つ事例が数多くあると考えられます。
このことに鑑み、今後は、他の地方自治体、特に文化や歴史の異なる島根県外の地方自治体との連携交流を、本市の重点的な取組みと位置づけ、積極的に推進することといたしました。このことによって、地域課題の解決や、市民サービスの充実を図って参りたいと考えています。
次に9月補正予算についてです。
本定例会に提案しています予算議案につきましては、喫緊の課題である有福線代替交通に関するものをはじめ、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用し実施する事業やDXの推進に関わる事業などを中心に編成したもので、その補正額は2億3,800万円余としています 。
内容につきましては、有福線代替交通検討支援業務委託料、物価高騰対策として、中小企業事業者や福祉施設、そして畜産業者などに電気代や飼料代などを補助し、経営の持続化を支援しようとするものです。また、DXの推進としましては、市議会のペーパーレス化を目的としたタブレット端末の導入、公式LINE運用ツールの構築、そして、企業版ふるさと納税による寄付金を活用したデジタル人材育成支援事業など幅広く対応するものとなっております。
以上、令和5年第3回江津市議会定例会における主な事業や課題について述べさせていただきました。
私は、「江津のひとをもっと笑顔に」「江津のまちをもっと豊かに」「江津のしごとをもっと魅力的に」という3つのキーワードを基に「小さくとも“一層” キラリと光るまち ごうつ」を実現させるため、引き続き全力を挙げて取り組んでまいります。
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