ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
プロフィール
市長から皆さまへ
所信表明・施政方針
市長交際費
フォトダイアリー

本文

令和4年第4回議会定例会における所信

掲載日:2022年9月1日更新
<外部リンク>

令和4年第4回市議会定例会における所信(市長提出議案説明より抜粋)

令和4年第4回江津市議会定例会が開催されるにあたり、諸議案の提案に先立ちまして、当面の市政運営に対する私の基本的な考え方を申し述べます。

 

私が江津市長に着任して早くも約一月半が経ちました。この短い間にも、市民の皆さまの声、市政に携わる方の声を真摯にお伺いすることを実践してまいりました。

様々な方と意見交換をする中で、私が選挙公約に掲げました、「江津のひとをもっと笑顔に」「江津のまちをもっと豊かに」「江津のしごとをもっと魅力的に」という3つのお約束は、確実に実行しなければならないものであると改めて感じました。

これからの本市は、今まで以上に、めまぐるしく変わる世の中に対応しなければならない柔軟性を求められています。しかしどのような状況になろうとも、私は「江津の未来に全力投球」し、目の前の課題に、逃げずに真正面から取り組み続けることをお約束します。

本日は、今後の市政運営にあたり、各種の課題に対する私の思いと決意を述べさせていただきます。

 

人口減少対策について

はじめに、人口減少対策についてです。

ご承知のとおり、人口減少対策は本市の最大の課題です。このため、本市では、令和2年度に第2期江津市版総合戦略を策定し、第1期に続いて、人口減少対策に全市的な取組みとして進めてきました。

江津市版総合戦略では、2040年の人口を17,300人程度に維持することを目標とし、雇用対策、移住促進、子育て支援、地域づくりを基本目標として、様々な事業を展開しています。

しかしながら、令和4年3月31日現在の本市の人口は、前年度から525人減少した22,312人となりました。これは、平成16年度の新生江津市誕生以降で最大の減少数となります。

今後は、本市の人口減少の原因や既存事業の効果をより細やかに分析したうえで、人口減少対策の質と量の両方を拡大し、より強力な取組みを推進して参ります。

 

市内の感染状況について

次に新型コロナウイルスの感染状況についてです。

本市は第7波の影響を受けて、7月には児童福祉施設、社会福祉施設、飲食に伴うクラスターが発生し、1か月で354人という過去最高の感染者が発生しました。

8月に入ってからは、児童福祉施設などでのクラスターの発生、夏休み中における人の往来などが影響しているとみられる感染が拡大し、8月末で833人の感染者が発生しています。

引き続き感染症防止対策に取組んでいく必要があります。

 

新型コロナウイルスのワクチン接種の状況について

次に新型コロナウイルスワクチンの接種の状況についてです。

新型コロナワクチン接種は令和3年3月から開始し、1年6か月が経過しました。その間、同年12月に3回目接種が追加接種となり、現在は令和4年5月末から60歳以上の人、基礎疾患を有する18歳から59歳の人が、7月末から医療従事者や高齢者施設の職員等を対象に4回目の接種が行われています。

8月末時点での3回目の接種率は、2回目接種者比で87.86%、65歳以上の人は96.72%です。また、4回目の60歳以上の接種率は3回目接種者比で73.31%となっています。

感染拡大に伴い早ければ今月中にもオミクロン株対応ワクチンの接種が予定されており、市では接種体制の整備をすすめているところです。接種対象者は初回接種が完了している18歳以上の人とされていますが、厚生科学審議会予防接種ワクチン分科会で審議がおこなわれています。

引き続き、新型コロナウイルスワクチンの接種につきましては、医療機関の協力を得ながら、着実に実施してまいりたいと考えています。

 

地域公共交通について

次に地域公共交通についてです。

自家用車の普及、人口減少及び少子化、さらには新型コロナウイルスの影響により、本市だけでなく全国各地で地域公共交通の利用が減少しています。

このような中、JR西日本は本年4月に、単独で維持するのが難しい線区として輸送密度2,000人未満の線区の収支状況を公表しました。対象となったのは17路線30線区で、山陰本線 出雲市・益田間も含まれています。これを受けて、島根県知事から国土交通大臣へ鉄道ネットワークの維持に関する要望が出された他、6月には県内自治体と商工団体により、JR路線の利用促進に向けた検討会が立ち上げられました。鉄道の存在は、市民の移動の確保だけでなく、県内外の方々との交流にも大きな影響を及ぼします。本市としても、県及び沿線自治体と歩調を合わせながら、山陰本線の利用促進及び維持に向けた取り組みを進めてまいります。

また、地域公共交通活性化再生法に基づき、地方自治体では地域公共交通計画の策定が努力義務化されています。この計画では、従来の公共交通サービスに加え、地域の多様な輸送資源の活用が求められています。本市においても、地域公共交通会議でご議論いただきながら、今年度中に地域公共交通計画を策定し、実効性の高い地域公共交通の構築を進めてまいります。

 

地域医療体制について

次に地域医療体制についてです。

本市の地域医療の中核をなす済生会江津総合病院について、経営状況は、令和3年度まで4期連続黒字決算と言われております。しかし、実情はコロナ関連の補助金や本市からの補助金等の支援があってのものであり、未だ病院が自力で借入金の返済や設備の更新などできる状況には至っておりません。また、昨年度末の整形外科医の退職等により、今年度の医業収入は減少する見込みであり、依然として経営は厳しい状況にあります。また、常勤勤務医師の高齢化、退職医師の補てんなどの課題もあります。

済生会江津総合病院の安定した運営に向けいかに経営改善をしていくのか、本市が必要とする救急医療、周産期医療等の提供体制をいかに確保していくのかについては、まずは、済生会江津総合病院が主体的に取組まれることが大前提ではありますが、本市といたしましても引き続き連携を図りながら、できる限りの支援を行って参ります。

とりわけ、医師確保については、済生会江津総合病院のみならず、本市のもう一つの地域医療拠点病院である西部島根医療福祉センターにおいても喫緊の課題でありますので、両医療機関と共に、県や派遣元である大学病院の支援、協力を求めてまいります。

本市の地域医療体制において、医師確保は最優先課題であると考えております。中核医療機関における常勤勤務医師の高齢化、開業医の高齢化も見据え、派遣医師に頼るだけではなく、本市に定着してもらえる医師をいかに確保していくかが重要です。

今後、済生会江津総合病院が医師会と連携して設立した地域医療連携推進法人など、他にない特性や特徴を活かした取組みを情報発信することで意欲ある医師の確保を図っていくことも大事だと考えており、両医療機関とも相談しながら取組みを進めてまいります。

 

教育について

次に教育についてです。

「教育は未来を創る」と申します。本市や日本の将来を担う子どもたちの、心身ともに健やかな成長は、私たち大人の大きな喜びであり、また大きな責務でもあります。

本市の教育によせられる市民の皆さまからの期待は非常に大きく、財政状況を踏まえながら一つ一つ丁寧にお応えしていかなければならないと考えています。

現在、学校現場では新型コロナウイルス感染症の流行という未曽有の危機に立ち向かい、子どもたちの身体的、精神的な健康と学力の保障に全力を注ぎ、教職員が一体となって、子どもたちのための教育活動を展開しています。

これから子どもたちの生きていく社会は、予測不能で不透明な社会と言われており、子どもたちは、グローバル化、少子・高齢化社会、society5.0時代に向けた持続可能な社会の構築に向け、自らの力で人生を切り開いていく資質・能力を身に付けていかなければなりません。

この次世代を生き抜くための力を育むための取り組みの一つが、GIGAスクール構想であり、一人一台のタブレット端末を活用した「主体的・対話的で深い学び、探究的な学び」を実現することにより、子どもたちが、新しい時代を生き抜くために必要な力を育成していくことが大切であると考えています。

本市においてもタブレット端末の学校や家庭での活用について積極的に取り組み、子どもたちの学力と豊かな人間力の向上に努めてまいります。

その他にも、ふるさと・キャリア教育の推進にも力を入れ、ふるさとへの愛着と誇りを育むとともに、今の学びと未来の生活のつながりを常に意識するよう今後も進めてまいります。

更に、「心の教育」の充実に努め、いじめ、不登校等の問題の解決を図るとともに、新たな課題であるヤングケアラー等についても、保護者、学校、地域社会が一体となり、子どもたちに寄り添う生徒指導の実践を通し、誰一人取り残さない、子どもたちの健全育成に努めて参ります。

併せて、不登校や引きこもりなど生きづらさを抱えている子どもや若者が、学校や社会とつながりが持てるよう積極的に取り組んでまいります。

また、本市には、大元神楽、石見神楽や勝地半紙のように日本遺産に選定されているものをはじめ、柿本人麻呂に代表される万葉や多様な文化財、石見焼きなど、郷土の歴史的伝統的な資源があります。それらをこれから先も守り、子どもたちがふるさとへの愛着と誇りを育むための学習を推進してまいります。

次に、懸案となっております西部統合小学校についてですが、学校の再編につきましては、平成23年3月に教育委員会において、第2次学校再編基本計画が策定され、子どもたちのよりよい教育環境をめざすため、市内の小学校は中学校区ごとの4校に再編整備することとされています。

この計画に基づき、この度西部統合小学校の建設を進めることといたしました。

学校を統合し新たに建設することにより、教育環境が改善するとともに、児童が集団の中で多様な考えに触れ、認め合い、切磋琢磨することを通じて、思考力や表現力、判断力、問題解決力などを育み、社会性や規範意識を、今以上に身に付けさせることができると考えています。

なお、統合小学校の建設には、概ね6年から7年程度かかることから、できるだけ早期の建設を進めるため、9月補正予算で、どこが建設場所として適切であるか検討を行う調査費を予算計上しているところです。

未来の担い手となる子どもたちの育成のための教育環境の整備は、何より重要であると考えますので、今後関係機関と協議を重ねながら、早急に進めていきたいと考えています。

また、地域文化のバロメーターともいわれる市立図書館についても早期の建設が望まれていますが、江津市全体計画の中で予算の平準化を図りながら、できるだけ早期に建設を進めていきたいと考えております。

 

子育て支援について

次に子育て支援についてです。

核家族化、少子化が進む中、子育て中の家庭は周囲に頼れる人や相談相手がいないため、不安や負担を感じる場合も少なくありません。

そういった課題に対応するため、本市では、妊娠期から子育て期に渡るまで、切れ目のない支援が実施できるよう様々な施策を展開してきました。

例えば、済生会江津総合病院産婦人科の医師、助産師と市の保健師が、毎月連絡会を開催し、課題を共有することにより、妊娠期から産後まで一人ひとりに寄り添い、しっかり支える体制ができるよう連携を図っています。

さらに、市内助産院においては「産後ケア」事業を行い、母親の休息や体調管理、赤ちゃんのお世話など、出産後の母親の不安を解消するための取組を進めています。 

また、市、子育てサポートセンター、保育所、子育て支援センター、警察署、地域の子育てサロンなど、市内の子育てに関わる機関が毎月連絡会を開催し、情報共有を図り、地域全体で子育て家庭を支えられるよう連携を図ってきました。

小さいまちだからこそ築くことができる関係性を強みとして、地域の子育て支援関係機関と連携しながら、ひとり一人に寄り添ったきめ細やかな支援ができるよう、今後も一層事業を充実させてまいります。

 

子ども医療費助成の実施について

また、子育て家庭の経済的な支援を更に充実させることで、子育てをしやすい環境づくりを推し進めたいと考えております。

具体的には、子どもの医療費助成について、昨年度から新たに小学生の医療費について助成を行うこととし、また今年度からその対象を中学生までに拡げてきたところですが、これを来年度からは更に18歳までを対象とすることにしたいと考えております。

また一方で、平成14年、未就学児の医療費のみに対して助成が行われていた時期に、少しでも子育て世帯に対する経済的負担の軽減を図りたいという思いから創設した小中学生の入院時食事代助成については、その目的が一定程度果たされることになること、また、入院療養者に助成を行うことで、在宅療養者との間に負担の不公平が生まれるという面もあったこと等を踏まえ、令和5年3月末をもって終了したいと考えております。

 

防災対策について

次に防災対策についてです。

まずもって8月3日及び8月9日からの大雨により北日本地方で被災された多くの皆さまには心よりお見舞いを申し上げます。近年、全国で豪雨による災害は激甚化、頻発化してきており、本市においても平成30年、令和2年、令和3年とこの5年で3度の大きな被害が発生しています。いずれも江の川、八戸川、これらの支川における越水、バックウオーター、パイピング現象などによって同じような地区に浸水被害が発生しました。

これらの根本的な対策のため築堤、宅地かさ上げ、移転などの治水対策を進めていますが、大きな費用と長い時間を要するものであります。

即時性を持った対応を行うため、小規模排水路などの内水排除のため可搬式の排水ポンプの配備を令和2年から進めてまいりましたが、引き続き排水ポンプの整備を進めるとともに、これらの効果的な運用について関係者と協議を重ね、また併せて防災備蓄品や水防活動の資機材についても整備、拡充を行ってまいります。

次に、市庁舎においては令和3年の新築移転を契機に、災害対策室、防災情報集約システム、デジタル防災行政用無線情報連携などハード面の防災機能の強化が図られました。今後は、これらの機能を効果的に活用し、いち早く正確な情報を市民に届け、迅速な避難判断に結び付けられるよう、運用についてブラッシュアップを図ってまいります。

次に、各地域におけるソフト面における防災対策についてです。本市では全地域に自主防災組織は設立されていますが、災害の形態、防災意識には地域性があり、取り組みも異なっています。今後は地域に応じた防災学習、避難訓練などきめ細やかな支援を行い、より一層、自助・共助・公助の「三助」の意識の醸成による防災力の強化を図り、地域防災力の向上に取り組んでまいります。

幸いなことに本市では、今年度大きな災害は発生していませんが、台風の時期を迎え、まだまだ気を抜くことはできない時期が続くものと考えます。今後も引き続いてハード面、ソフト面を組み合わせて、一体的に防災・減災対策の強化・充実を図ってまいります。

 

江の川治水対策について

次に江の川治水対策についてです。今年は昭和47年災害からちょうど50年と節目の年となりました。

昭和47年災害以降、様々な原因により、遅々として進捗が図られなかった江の川下流域の治水事業においては、平成30年7月豪雨、令和元年東日本台風、そして令和2年7月豪雨等、近年全国的に水害が頻繫に発生し、かつ、激甚化していることを受け、国において全国的な治水事業の加速化を図るため、流域治水という枠組のもとに、あらゆる手法を活用し、治水対策を進める方針が示されました。

これらの災害により、2度浸水した地区を緊急対策特定区間に設定し、重点的に河川整備を行うため、令和3年度から「10年で250億円」の予算が江の川に配分されることになりました。

この「10年で250億円」という数字については、これまでの国の江の川治水対策に関する経緯や事業費の推移から見ますと、非常に大きな一歩を踏み出したことになると認識していますが、無堤地区が約6割にものぼる江の川下流域沿川における「緊急対策特定区間」の総事業費としては、十分とは言えないと感じています。

早期に本市における整備方針を決定し、必要な予算額の確保を国土交通省、財務省はもとより、地元選出国会議員に対し要望するとともに、国と市との役割を明確にしたうえで地元調整を進め、事業の推進を図りたいと考えております。

また、国は、江の川流域治水において、「治水とまちづくり連携」という言葉を標榜されています。治水対策の一つの手法である防災集団移転促進事業につきましては、本市が事業主体となります。「江津市都市計画マスタープラン」や「江津市立地適正化計画」を上位計画としながら、対象地区住民の皆さんに細かな対応をさせていただき、安全で安心な場所への移転を早期に実現したいと考えております。

 

山陰道について

次に一般国道9号福光・浅利道路についてですが、平成28年度の事業化以降、事業進捗を図っていただいており、本年4月1日時点で用地取得率は約96%、全体の事業進捗率は約27%と伺っております。

現在工事の進捗具合は、各工区で進んでいる様子が国道9号からも確認できるようになってきました。

本市といたしましては、引き続き事業進捗が図られるよう、国と協力し、関係者との調整を図ってまいります。

そのうえで、今後の開通見通しの公表や、早期完成に向けた予算の確保など、国土交通省はもとより、財務省あるいは地元選出国会議員に対し、山陰道安来益田間建設促進期成同盟会や出雲江津間高規格道路建設促進期成同盟会の要望活動を通して、事業の早期完成に向け要望を行ってまいります。

 

産業振興について

次に、産業振興についてです。

長引く新型コロナの影響下において、飲食業や観光業などに関わる事業者を中心として経営に大きなダメージを受けて来られました。また、石油価格や物価の高騰が重なったことで、コロナ禍にも増して幅広い業種に影響が広がり、さらには市民の消費意欲の冷え込みも心配されるところです。

このため、まずは市内経済の停滞を防ぐため、8月の補正予算において11月から開始する地域応援券事業の拡充を行ったところです。

しかしながら、コロナ禍や物価高騰の収束はまだまだ見通せない状況でありますので、今後も国や県による対応なども注視しながら、引き続き必要な対策を適時講じていくことで市内経済や事業活動の安定に役立つよう努めてまいります。

一方で、アフターコロナへの対応をはじめ、今後は脱炭素やDXなど、新しい時代を見据えた事業活動への変革も求められます。こうした新しい課題の解決に向けて、国や県の施策と連携しながら対策を行っていくとともに、設備投資や商品開発、販路拡大、さらには創業や事業承継の支援といった従来の施策にもしっかりと取り組んでまいります。

また、多様な職種の雇用を確保するため、江津工業団地を中心とした企業誘致に島根県と連携して取り組むとともに、地場産業振興センターサテライトオフィスへの進出企業の獲得についても引き続き注力してまいります。

そして、人口減少の進行が避けられない中、産業振興においては人材の確保が最も大きな課題の一つとして挙げられます。企業が行う人材の育成・確保や、働きやすく魅力ある職場づくりなどに関する取り組みを支援するとともに、ワークステーション江津との連携により、きめ細やかなマッチングの機会を提供してまいります。

さらには、これまでに採用機会が少なかった外国人や障がい者、あるいは性別や年齢を問わない幅広い人材の雇用拡大と、受入れ体制づくりを支援してまいります。

 

有福温泉の再生について

次に、有福温泉の再生についてです。

有福温泉については、皆さまご存じのとおり1,360年余の歴史を持つ温泉地でありますが、平成22年の火災、平成25年の災害を経て、近年、旅館は3軒まで減少し、また、このたびのコロナ禍もあって一層厳しい経営環境に置かれることとなりました。

そうした中、令和2年度に策定された有福温泉再生ビジョンの実現に向け、令和3年度から観光庁の事業を導入し、市による廃業旅館の解体撤去をはじめ、民間事業者による旅館や飲食店の改修整備などを行っています。

令和4年度においても再生の取り組みを継続するため、観光庁が新設した「地域一体となった観光地の再生・観光サービスの高付加価値化事業」に計画申請を行っておりましたが、7月15日付で採択を受けることができました。

これにより、既存旅館のさらなる改修に加え、新たに5軒の宿泊施設と1軒の体験工房の整備が行われることになります。今後は事業者としっかり連携しながら、工事の円滑な推進に努めてまいります。

また、有福温泉については、令和5年度以降の街なみ環境整備事業の導入に向け、今年度は整備方針を策定することとしており、現在、調査業務を行っています。

観光事業者による再生については一定の前進が見られる一方で、道路や河川、住宅など公共空間の修景や、広場、駐車場の整備、さらには空き家対策など、有福温泉には様々な課題が残されていますので、今後は地域住民の意見を伺いながら、それらの解決に向けても一つずつ取り組んでまいります。

 

農林水産業の振興について

次に農林水産業の振興についてです。

米価下落や肥料・飼料・資材の高騰をはじめ、農業従事者の高齢化や担い手不足、近年の災害発生や有害鳥獣による農作物被害など、農業を取巻く環境は非常に厳しい状況にあります。こうした課題に対し、適時適切に対処してまいります。

まず、地産地消の取組みの推進です。農林水産物直売所である道の駅サンピコごうつでは、学校給食食材における地産地消率40%を目標に取り組んでいます。関係者との情報共有を密にし、地元野菜等の確保を行うことで、児童生徒への地元の新鮮で安全な食材提供に努めるだけでなく、食と農のつながり、食育の推進を図るとともに、生産者にとっても生産意欲や所得の向上につながるよう取り組みを進めてまいります。

また、農林水産省は持続可能な食料システムの構築に向け「みどりの食料戦略システム」を策定し、食料・農林水産業の生産能力向上と持続性の両立をイノベーションで実現するとしています。その中の一つが、有機農業に取り組む面積の拡大です。本市では耕作面積に占める有機農業の割合が高く、市民の皆さまの関心や機運も高まっています。産業としての取組支援を図るとともに、暮らしの一部として給食食材への導入や啓発により、有機農業の促進を図ってまいります。

次に6次産業についてです。生産から加工、販売までの6次製品化に取り組み、生産者の所得向上・生産拡大を図っています。中でも江津特有の製品として苔栽培の拡大を目指している中、8月5日、8月6日に日本蘚苔類学会島根県江津大会が本市でオンライン開催され、全国の皆さんと意見を交わし、江津市の取組みを大いにPRすることが出来ました。これを契機に、苔の販路拡大と需要喚起に繋げてまいります。

次に担い手の育成・確保についてです。新規就農者が農業経営や雇用を継続できるよう、様々な支援を継続してまいります。農地の集積・集約を進め、基盤整備を取り入れながら、担い手の営農効率を上げるとともに、新たな担い手となる農業企業の参入も進め、農地の維持に努めてまいります。

次に有害鳥獣対策についてです。近年は農作物被害だけでなく、生活圏も脅かす状況になっています。捕獲だけでなく、防御も進め、江津市有害鳥獣捕獲員や地域の皆さまと連携し、有害鳥獣対策を進めてまいります。

次に林業についてです。林業の成長産業化と森林資源の適切な管理を両立するため、地域林業が抱える諸課題に対応し、「伐って・使って・植えて・育てる循環型林業」により、林業事業体の雇用創出や森林の適切な管理を森林環境譲与税を活用しながら進めてまいります。

次に漁業についてです。漁業従事者の確保の取組みとともに、従事者の支援を検討してまいります。また稚魚や稚貝の栽培漁業による水産資源の回復に努め、江の川で減少している鮎については、沿線自治体や関係者と連携し、資源回復に努めてまいります。

次に令和3年度豪雨災害による農業施設の復旧についてです。那賀東部広域農道、波子農免農道がまだ復旧工事に着手できていません。現在、ボーリング調査等を終え、工事発注に向け準備を進めているところです。被災から1年以上が経過しましたが、依然通行止めとしており、市民の皆さまには大変ご不便をおかけしています。1日でも早い復旧に向けて進めておりますので、ご理解とご協力をよろしくお願いします。

 

旧市庁舎について

次に、江津市役所旧庁舎についてです。

市役所旧庁舎が昨春の新庁舎への業務移転に伴い、その役割を終えてから1年が過ぎました。

ご承知のとおり、旧庁舎は、日本の近代建築史における貴重な建築物です。これまでに、市が実施したアンケート調査やタウンミーティングなどにおいては、可能であれば新たに活用して欲しいという声も寄せられています。

一方で、再利用に向けた改修や、その後の管理には、多額の費用が必要となるため、財政面での大きな負担となることが見込まれ、持続可能な市政運営を妨げることにもなりかねません。将来に向かって大きな負担を生じさせるべきではないとも思っています。

現在、「旧江津市役所本庁舎の在り方検討有識者会議」を設置し、様々な分野で深い見識をお持ちの皆さまに検討していただいております。また、改めて各地域に出かけ、市民の皆さまのご意見をお伺いしたいと考えております。

有識者の方々や市民の皆さまのご意見、本市の財政状況や将来像などをしっかりと検討したうえで、できるだけ早く今後の旧庁舎の取り扱いについて、判断を下したいと考えています。

 

水道事業について

次に水道事業についてです。

本市には、水道管が約400km、浄水場や配水池、ポンプ設備等の施設が約70箇所存在します。

これら水道施設の老朽化が進む中、現在、江津市水道事業経営戦略に基づき、経年劣化により漏水が多発している管路の更新事業、医療機関や介護施設等の重要給水施設へ送る基幹管路の耐震化事業を重点的に実施しています。

水道事業の課題としましては、給水人口の減少に伴い給水収益の減少が進む中で、管路や施設の経年劣化による更新費用の増加が予測されることから、将来にわたり安全で安定的な水道水の供給を継続させていくための適切な水道施設の維持管理と、その財源の確保があげられます。

今後の施設整備にあたっては、将来の水需要予測に見合ったダウンサイジングや統廃合を行なう等、経費の抑制に取り組み、財政計画と連動した計画的な整備を行っていくことで、適切な水道施設の維持管理と経営の効率化を図ってまいります。

 

下水道事業について

次に下水道事業についてです。

本市の下水道整備は「安全で快適な生活環境づくり」として、市民の生活やさまざまな活動を支え、持続可能なまちづくりを実現する生活基盤整備の一つとして位置づけています。

江津市内の公共下水道事業は、波子処理区が平成23年度に事業を完了し、江津西処理区は現在、建設事業を継続中であり、接続人口も毎年増加しております。令和4年度においては、整備区域のうち、人口が密集する市街地の管渠整備を進めてまいります。この下水道建設事業については、しばらくの間、整備を継続しますが、令和8年度で事業継続に一定の区切りをつける予定としています。

また、農業集落排水事業は、旧桜江町において平成8年度から着手し、平成18年度に事業が完了しております。しかしながら、施設供用開始から20年が経過し、設備の老朽化が著しく、設備更新が急務となっています。今年度から3カ年にわたり国の補助事業を導入し、施設の更新を行う予定としています。

本市の下水道事業については、現在、公共下水道事業及び農業集落排水事業の二つの特別会計により経営しています。この二つの特別会計を一会計に統合し、地方公営企業法の財務適用を行い、令和5年4月から企業会計への移行を予定しております。

現在、企業会計移行の準備を進めており、企業会計の手法を導入して経営のさらなる効率化を図ります。

今後も人口減少と高齢化が続く中、収益を確保するため、接続率及び整備率の向上を目指し、下水道事業を進めてまいります。

 

ふるさと納税について

次に、江津市ふるさとづくり寄付金事業についてです。

ふるさと納税は、自分の生まれ育った故郷や応援したい自治体に感謝や応援の気持ちを伝える制度であるとともに、寄付の使い道を自分の意思で決めることができる制度です。

本市では平成20年度創設当初よりふるさと納税制度による寄附金の募集を開始しています。令和3年度のふるさと納税の実績は、寄附件数7,409件、寄附額1億4,085万7千円です。全国各地から多くのご寄附をいただいています。 

今後も、制度の趣旨に則り、本市の情報を市外、県外に発信するとともに、自主財源の確保を目指して、積極的な取り組みを推進してまいります。

 

行財政改革について

続いて、行財政改革についてです。

令和2年度をもって終了した第5次行財政改革では、予算削減を至上命題として推進し、対象期間の10年間で28億98百万円の削減に成功しました。

今年度からスタートした第6次行財政改革では、デジタル・トランスフォーメーション、いわゆる“DX”の推進を中心に据え、スマートシティの実現を目標としています。

スマートシティとは、人口減少が深刻化するなかにあっても、デジタル技術の積極的な活用によって効率的に行政サービスを提供する持続可能な次世代の自治体像のことを指します。

スマートシティの実現には、事業、制度、組織等のあり方を例外なく根本から見直すことが求められます。これまで以上に大きく厳しい改革となることも見込まれますが、既存の仕組みや価値観にとらわれることなく、第6次となる行財政改革を着実に進めて参ります。

 

令和4年度9月補正予算

次に予算についてです。

定例会に提案しています予算議案につきましては、市長改選後の肉付け予算と位置付けられるものを中心に編成したもので、 その補正額は、一般会計3億8,000万円余を計上しています 。

内容につきましては、証明書等のコンビニ交付などの市民サービス、地域医療対策、農業振興、道路改良、災害対策、さらには、西部統合小学校建設候補地の検討経費など、重点課題に幅広く対応するものとなっております。

なお、新型コロナウイルス感染症対策の予算についてですが、早期に対応すべきものは、先月行われた臨時会において提案したこともあり、今補正予算においては、限定的なものとなっています。しかし、今後も引き続き、感染状況やその影響を鑑み、柔軟かつ適正な時期に編成していく所存であります。

 

終わりに

以上、本市における主要な施策の取り組みと、本市が抱える諸課題について申し述べました。

山下前市長が築き上げた江津市政の土台を引継ぎ、持続可能な市政運営に努めつつ、名実ともに一流のまちを実現するさらなる一歩を踏み出すため、「小さくともキラリと “一層” 光るまち ごうつ」を目指し、全力を挙げて取り組んでまいります。

備考

アクセシビリティのため、語句や文章を変更して掲載しています。