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文化財の展示を開始「発掘された江津の宝7選」
江津市の文化財を市民に知ってもらおうという企画を始めました。文化財の常設展示は市内初であり、今後、年3~4回程度の展示替を計画しています。
第1回目となる展示は、埋蔵文化財の優品をピックアップします。
埋蔵文化財とは地面の下に眠っていた文化財のことで、市や県の調査によって明らかになりました。それらの中から特に7遺跡を選び、展示しています。
展示のテーマ
「発掘された江津の宝7選」
主催
江津市教育委員会
展示場所
江津市総合市民センター 1階北側廊下(江津市江津町1110-17)
展示期間
6月1日(月曜日)~9月30日(水曜日)
※火曜日は施設が定休日のため見ることができません。
備考
- 観覧は無料です。
- 展示棚は、ポリテクカレッジ島根の学生が制作しています。
展示物 弥生~鎌倉時代の出土品40点
1.波来浜遺跡
弥生時代中期から後期におけるこの地域一帯を支配した歴代の首長墓で、石見地域の王墓の展開を知る上で非常に重要です。
ここから出土した遺物のうち弥生土器51点、銅族6点、鉄鏃3点が島根県指定有形文化財とされています。
所在
後地町波来浜地区
時代
弥生時代中期頃~平安時代
2.高津遺跡
古墳時代~奈良時代の祭祀が行われたと思われる大規模な水場遺構などが見つかり、中から赤彩土器が発見されました。
遺跡内の出土遺物には6世紀ごろの有明海沿岸地域と関係が深いものがあり、地域間交流の面で非常に重要です。
このほかにも、8世紀の「郡」と書かれた須恵器が出土しており、当時の官衛(古代の役所)的な施設が近くにあった可能性を示しています。
所在
江津市都治町上都治地区
時代
弥生時代から中世(鎌倉時代)
3.空山1号墳
大きさは高さ約1メートル50センチ、直径約10メートルあり、高野山古墳群の一部です。高野山古墳群で最大規模の古墳で、主体部は横穴式石室です。
所在
千田町 高野山
時代
7世紀前半(古墳時代終末期)
4.青山古墳(高野山古墳群)
高野山古墳群は天狗山と高野山全体に分布していると考えられている古墳群です。
その規模は石見の中でトップ3とされ、鵜の鼻古墳群(益田市)、八表古墳群(浜田市)と並ぶ規模とされています。
しかし、古墳全体の総数、古墳の大きさ・形など、不明な点は多くあります。
青山古墳は高野山古墳群の一部と考えられます。現在のところ、高野山古墳群の中で最も古い古墳です。
圭頭大刀や耳環など、当時としては貴重な品々が副葬されていることから、二宮地区一帯を支配した権力者が埋葬されていたと考えられます。
所在
二宮町神主
時代
古墳時代後期~終末期の古墳
5.宮倉遺跡
弥生時代後期頃の竪穴式住居跡や掘立柱建物跡などが発見され、当時の集落の存在が想定できます。
奈良時代頃の遺物のなかには、墨書土器のほか、石見国分寺跡、下府廃寺跡から出土した軒平瓦と同文の瓦があり、官衙(古代の役所)等との関係が考えられます。
また、周辺の半田浜遺跡からは火葬墓が出土しており、その300m南西の半田浜西遺跡からは、奈良三彩・円面硯・風字硯などが出土しています。これらも合わせて官衙との関係が強い地域であったと考えられます。
所在
二宮町神主
時代
弥生時代後期~近代
6.古八幡付近遺跡
弥生時代の環濠集落や水田跡等が確認され、この時期の集落の存在が想定されます。
古墳時代後期の古墳も見つかっており、敬川流域を支配していた豪族がこのあたりにいたと考えられます。
また、奈良時代の統一新羅土器や鎌倉~戦国時代にかけての貿易陶磁器が出土しており、古くから交流の拠点となっていたこともうかがえます。
所在
敬川町
時代
弥生時代~戦国時代
7.八神上ノ原2遺跡
江の川の自然堤防を利用した、中世前期の集落跡が存在したと推定されます。
この遺跡は、多種多様な鉄製品が数多く出土することが特徴で、本来は、製品を集積する倉庫が存在したと考えられます。
また、立地から水運と密接に関わる集落であることも想定できます。
所在
松川町八神
時代
縄文時代晩期~近世
展示棚 配置図