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私たちのU・Iターン物語 05 吉田さんご家族

江の川の雄大な流れと中国山地に抱かれた桜江町大貫地区に林業を志す青年とご家族がIターンして来られました。
私たちのU・Iターン物語 05 吉田さんご家族

私たちのU・Iターン物語 05 

【 吉田さんご家族 】

現住所:江津市桜江町大貫
Iターン日:平成19年3月

 江の川の雄大な流れと中国山地に抱かれた桜江町大貫地区に林業を志す青年とご家族がIターンして来られました。
 吉田渉(わたる)さんと妻のかおるさん、娘のあおいちゃん、ペットで犬の蓮(レン)くん家族です。

 
 

○生い立ち

  渉さんは、島根県大田市で生まれ、すぐに奈良県奈良市へ引越し、高校卒業まで暮らしました。その後、京都市内の大学へ進学。
 かおるさんは、兵庫県加西市で生まれ育ち、京都の大学へ進学しました。
 そんなお二人は、バレーボールクラブで出会いました。かおるさんはマネージャーで、渉さんはプレーヤー。クラブ活動を通じて、いつしかお付き合いするようになりました。

 かおるさんは2年先に卒業し、京都市内の老人ホームに就職。2年間勤めた後、実家のある兵庫県加西市の会社へ転職しました。
 渉さんは、自然が好きだったので、大学時代から花屋でアルバイトをしていて、卒業後も花屋に就職しました。
 渉さんが就職した頃、かおるさんは兵庫県加西市で仕事をしていたので、遠距離恋愛となりましたが、お互いの気持ちは変わることなく、4年後にめでたく結婚。

 結婚2年目に、愛娘のあおいちゃんが生まれました。これで、結婚前から飼っているペットで犬の蓮くんと、3人と1匹の家族になりました。
 
 花屋の仕事は、想像以上に忙しく、大変でした。休日は週に1日、正月・母の日・お盆・クリスマス等々休日や行事のある日は全て仕事です。特に母の日は朝6時まで徹夜で仕事をして帰ってきて、またその日の朝に出勤するということもありました。
 家族で出かける事は出来ず、あおいちゃんとは出勤前の十数分しか過ごせない状況でした。

 そんな毎日を暮らしていたとき、いつかは家族で花屋を持とうという話をした事もありましたが、かおるさんは花が苦手なので・・・、「どーしようかなーっ」と考えてもいました。
 また冗談で、「どこか遠い所へ行くのもいいな」と2人で話したりもしましたが、具体的には何も考えは浮かばず、「何となく転職したい・・・」

○トントン拍子

 ついに渉さんは花屋を辞める決意をし、平成19年1月で辞めました。
 かおるさんは、家族の時間が無いほど仕事に追われて、頑張ってきた渉さんを間近で支えていたので、渉さんが辞めると言った時も「そう」と素直に受け止めました。

 次の仕事を決めずに辞めた渉さんは、早速就職活動をする事に。花屋とは違う仕事がしたいと思っていたとき、ふっと高校生時代のことを思い出しました。
 高校生の時に、自然と関わる仕事に就きたいと思い、レンジャー関係の専門学校を受験しようとしましたが、先生等に反対され断念した事がありました。
 そんな事を思い出して「林業がいいな・・・」と思いました。その事をかおるさんに話してみると、「別にいいよ!」と理解してくれました。

 就職先を林業系に決めて、インターネットで調べてみると、1週間後の1月末に大阪で林業関係の全国ガイダンスがあることが分かり、早速家族で行ってみることに。
 会場では、若い人から年配の人まで沢山の人がガイダンスに参加していて、「こんなに林業を志す人が居るのかーっ」とビックリしました。

 ガイダンスでは、「緑の雇用」という制度を利用して、実際に林業に携わっている人の話を聞き、林業の仕事が楽しくてやりがいがある、という思いが伝わってきました。
 会場には、県単位でブースがあり、京都・兵庫・和歌山・奈良・島根のブースに行き、中でも和歌山と島根が積極的で、いろいろ話を聞くことができました。
 
 林業に携わるためには、チェーンソーと刈払機(草刈機)の資格が必要です。その資格取得の講習会が島根県は2月10日で一番早かったので、とにかく資格を取ろうということに。すると、その講習会の前に出雲で就職説明会があるという事も分かり、合わせて参加する事にしました。

 出雲での就職説明会で、渉さんは江津市桜江町の千代延林業と出会いました。
 千代延林業の担当者は、大阪から妻子を連れてIターンしている方で、同じ関西人で境遇が似ている事もあり、共感できました。いろいろ話をしていて、担当者の人柄にも惚れ込んでしまい、千代延林業で働こうと決めました。
 すると担当の方から、「面接してみる?」との言葉があり、即座に面接を申し込みました。

 京都に帰り、かおるさんに就職説明会の事と千代延林業で働きたいという事を話すと、すぐに理解してくれました。

 花屋を辞めた時に、「今度は田舎に住む事になるだろうから、車を持たないと生活できない」と考え、車を買う契約をしていた渉さん。2月7日の納車日に新しい車で、京都から桜江町に千代延林業の面接を受けに来ました。

 千代延林業の社長さんとの面接では、「吉田さんしだいだよ」と言われ、林業の作業現場も見せてもらいました。渉さんにとって林業の現場を見るのは生まれて初めてでしたが、「自分にも出来る!」と思い、絶対に千代延林業に就職したいと決意しました。
 現場見学の帰り道、
社長   「4月から来るか?」
渉さん 「ハイ!お願いします!!」

○あこがれの山師に!!

 採用決定を胸に、2月10日からの講習を受けました。

 講習には大田市の渉さんの祖母の家から通い、その合間をぬって桜江町大貫周辺で家探しをしましたが、なかなか借りられる家が見つからず、講習期間は2週間、あせりを感じながら、千代延林業の社長さんに相談したりと探し回りました。
 講習終了日に、たまたま千代延林業の社長さんの知り合いの方の家を貸してもらえる事になり、ついに家を借りる事が出来たのでした。

 平成19年3月20日に京都から桜江町大貫に家族で引っ越してきました。
 
 渉さんはついに山師となり、4月1日から仕事が始まりました。最初の1ヶ月は死ぬほどきつかったと振り返ります。毎日が筋肉痛で体中が悲鳴を上げていました。大学時代はバレーの合宿で厳しい練習に耐え、花屋で毎日十数時間も立ち仕事をしていた経験もあったので、体力仕事には自信があった渉さんですが、その自信はものの見事に打ち砕かれました。あまりの厳しさに、いつまで筋肉痛が続くのかと、ため息まじりの渉さん。

 そんな日々が過ぎ去ったある日、腕や足や背中に筋肉が付いてきて、日焼けもして逞しくなってきている自分に気づきました。京都に居た頃は、鉄アレイで筋トレをしていた事と比べ、「仕事をしながら筋トレができる、一石二鳥ではないか!」日々自分の身体に筋肉が付き、逞しくなっていくのが嬉しくてたまりませんでした。

 林業は、自然が相手なので、朝から夕方まで、晴れた日に仕事をします。少々の雨なら仕事をします。山の中の急な斜面を機材を担いで登り、木を切ったり、草を刈ったりします。尾根から谷を越えて尾根へ山の中を歩き回り作業をします。

 ヘルメットを被り長袖長ズボンに手袋をし、チェーンソーを持っての仕事は想像以上に熱く過酷でした。春先は2リットルのペットボトルに水を入れて持って行っていましたが、猛暑・酷暑だった今年の夏は、一日6リットル以上の水を用意し水分補給をしながらの仕事でした。




○不便さよりも良い事だらけ!!

 現在、かおるさんは川本で仕事をしていて、あおいちゃんは、谷住郷保育所に通っています。
 渉さんは午後6時半には帰宅、週休2日なので家族と過ごす時間が増え、かおるさんと一緒にあおいちゃんの成長を見守る事ができます。あおいちゃんはちょうど言葉を覚える頃で、外にいる渉さんに「パパ、早く中に入りんしゃい!」と早くも石見弁を話し、聞いた2人は思わず大笑い。

 家の前には畑があり、スイカ・カボチャ・イトウリ・トマト・ナス・ネギ等を作っています。近所の方からも優しくしてもらい、いろいろな野菜をくださり、とっても可愛がってくれます。
 自然が豊かで川も近くにあり、魚釣りも楽しんでいます。自分で釣った魚や、家の畑で取れた野菜を食べて、半自給自足の暮らしができる事がとっても楽しい事です。

 買い物は週に1度江津市街や浜田へ行き、まとめ買いをします。「チョット遠い・・・ガソリン代が・・・」
 インターネット環境が悪く、実家に画像を送るのが困難・・・「郵送にします・・・」
 かおるさんは虫が嫌いなので、家の中でヤモリやクモ、ムカデ、ゴキブリが出没すると大騒ぎになります。

 「不便な事もあります。でも、そんな不便さを吹き飛ばすほど良い事がたくさんある桜江町大貫の暮らしが好きです。」

○桜江町大貫で暮らしていこう!

 千代延林業では、現在7人の従業員が居てそのうち5人がIターン者です。渉さんが京都から、その他に石川・大阪・広島・山口からのIターン者です。平均年齢は32歳と若く、元気な職場です。

 仕事を始めて約半年、渉さんは仕事に行くたびに、先輩がカッコ良く見えます。先輩の林業に関する知識の深さ、仕事の速さ、経験・・その全てがカッコ良いんです。
 林業は、木を切る事一つをとっても、どの木を切るのか、木の切り方、切り倒す方向などや草刈り、山から谷へのワイヤー張り等々一人前になるには少なくとも20年は掛かるそうです。

 「今は、知らない事だらけです。早く一人前の山師になりたい。」

 渉さんとかおるさんの夢は、桜江町大貫に自分達の家を持つ事です。近所の方々は本当に良くしてくださり、可愛がってくれます。この桜江町大貫で、自分達も近所の方々に何らかの形で恩返ししながら一緒に暮らして行きたいと思っています。


 「桜江町大貫で暮らしていこう!」そう決意しました。

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